デグーは条件が揃えば、比較的容易に繁殖することが可能です。繁殖する前に命を生み出すことに責任を持つことが大切です。寿命も10年と長いので、生涯大切に飼育ができるのかよく検討してから繁殖に臨むようにしましょう。
目次
繁殖前によく考えよう
安易に繁殖せずに、よく検討してから挑戦しよう。
ケージの数が増える
デグーは1回の繁殖で多くて10匹の赤ちゃんを出産することがあります。その分ケージの数が増えます。ケージの置く場所や金銭面のことをよく調べてから行うようにして下さい。
飼育の負担が増える
飼育数が増えれば、世話をする手間が増えます。ケージの清掃や砂浴び、散歩などたくさんあります。また食事代や用品代も増えてしまいます。飼育の負担から経済面もよく考えてから行いましょう。
繁殖トラブル
繁殖は必ず成功するとは限りません。母親の体に負担がかかるのはもちろんですが、難産や流産、育児放棄が起こることも考えられます。トラブルが起きることもよく考えてみてください。
性成熟
性成熟は子供を作る機能が体にできることを言います。メスは生後7週、オスは生後12週で性成熟します。
繁殖適期
性成熟したら子供を作ることはできますが、身体は大人としての成長が不完全です。繁殖は身体がしっかりと成長してから行うのが大切です。繁殖適期は生後1年といわれています。体重で見ると、メスは約210g~250gが一番適しています。
繁殖時期
野生のデグーは年に1度の繁殖シーズンに1回だけ、繁殖しますが、飼育下では1年中繁殖が可能です。
発情周期
デグーは性成熟すると、オスは常に交尾が可能になります。メスは発情している時にしかオスを受け入れません。メスの発情周期は平均で21日です。発情すると生殖器が膨らんできて、膣口が開きます。その期間は1~3日といわれています。
妊娠期間
妊娠期間は平均90日間になります。
1度に生まれる赤ちゃんの数
1度に生まれる子供の平均は3~6匹です。多い時で10匹産むこともあります。
分娩後発情
赤ちゃんを産んだ後すぐに発情することをいいます。この際に交尾して、連続で妊娠することもあります。
オスとメスの見分け方
見分ける際には肛門と生殖器との間隔を見て確認します。間隔が狭いのがメスで、広いのがオスになります。
繁殖する前に気を付ける事
繁殖が可能かどうか良く確認しましょう。
繁殖適期なのか?
未成熟の繁殖は避け、しっかりと身体が成熟してから挑戦しましょう。繁殖ができる年齢は、メス5~6歳、オスは交尾できる限り可能になります。
健康か?
妊娠は体への負担が大きいので、しっかりと健康な状態で臨みましょう。また繁殖は体力を使うため、年に1回以上するのは避けてください。
近親交配ではないか?
近親交配で生まれてくる子は、体が弱かったり、奇形の子が生まれてくることもあります。気を付けて親を選びましょう。
繁殖方法と手順
お見合い
オスとメスを別々に飼育している場合は、いきなり一緒のケージに入れるのではなく、まずお見合いをする必要があります。お互いのケージを近くに置いて、相手の姿やにおいを認識させます。1週間くらいしたら、相手の匂いのついた床材やおもちゃを交換してみます。はっきりと相手のことを知ることができたら、一緒のケージに入れてみましょう。入れるケージはどちらの縄張りでもない、全く新しいものを用意してください。喧嘩をしていないか様子を見ながら同居させてみましょう。相性が良く、メスが発情している場合は、すぐに交尾が成功する場合もあります。喧嘩をしていたり相性が悪そうであれば、一度別々にして、しばらくしてからもう1度挑戦してみてください。
求愛行動
発情したオスはメスに対して、匂いをかいだり、尻尾を振ったりします。オスは匂いをかぎながら、鳴き声で求愛します。ピルピルと優しい声で鳴きます。それに対してメスが優しく鳴き返すのは、オスの気持ちに応えてる場合で、甲高い声をあげるのは拒絶しているときになります。また雌に尿をかける場合もあります。これも求愛行動なので心配しないでください。
交尾
オスを受け入れる体制になったら、メスがお尻をあげて交尾が行われます。交尾は短い時間で終わります。交尾が終わると、オスはチッチッと何度も鳴くのを繰り返します。これは、ほかのオスに対する縄張りの主張と考えられています。
妊娠、出産準備
デグーの妊娠期間は約86日~92日といわれています。
それまでに安心して出産できる環境を整えてください。
妊娠中の注意点
デグーは群れの中で共同で子育てをするので、交尾相手のオスと一緒に飼育していても問題はありません。デグーは巣穴で子育てをする動物なので、巣箱を用意する必要があります。また巣材として牧草を使うので、簡単に運べるように近くに置いておくようにしましょう。飼い主とのスキンシップも過度にかまい過ぎず、ストレスを与えないように気をつけてください。
妊娠中の食事
妊娠中は高たんぱくな食事が必要です。牧草はチモシーの他に、高たんぱくなアルファルファも与えると良いです。
出産間近になったらオスとは別にしよう
デグーのメスは出産後にすぐ発情するため、立て続けに交尾をしてしまう可能性もあります。メスの負担が大きくなるので避けなくてはいけません。オスとメスを同居させたい場合は、出産してから一週間ほどたってから一緒に飼育するようにしましょう。オスのデグーも一緒に子育てをしてくれるので、メスの負担を減らすことができます。ただしメスの発情期がきたらまた妊娠する可能性があるので、よく考えてから一緒に飼育しましょう。
出産
出産が近くなったら、ケージ内はあまりいじらずにストレスを与えないようにしましょう。赤ちゃんが生まれてきても絶対に触ってはいけません。赤ちゃんに人間の匂いがついてしまうと、母親が育児放棄をしてしまうことがあります。
子育て
出産したら、食事と飲み水の補充だけにして、ケージ内の清掃は控えてください。デグーは早成性なので、生まれた時には被毛も歯も生えていて、身体も大人と同じ形をしています。生まれてきたデグーは母親の母乳を飲んで成長していきます。そのため母親の食事は栄養化の高いエサが必要です。高たんぱくなアルファルファを与えましょう。また母乳を出すには水分が必要なので、しっかりと水を用意してください。
離乳
離乳時期は生後6週といわれています。生後7週になると、メスが性成熟するので、その前に親から離す必要があります。また近親交配を避けるため、子供たちもオスとメスに分けて飼育しましょう。離乳した子供たちには、牧草やペレットなどの基本的な餌の他に、生後3か月くらいまでは、栄養価の高いアルファルファなども与えてください。
育児放棄
落ち着かない環境などで子育てができないと判断したとき、子育てを放棄してしまうことがあります。母乳が飲めなければ、成長できずに死んでしまいます。育児放棄されていた場合、人工保育という手があります。
人工保育
人工保育の場合は別のプラケースなどに移して飼育します。デグーの体温である、37~38℃くらいになるようにプラケースにフリースなどを敷き、ペットヒーターの上に載せます。ミルクは市販されているペット用のものを使います。よく使われているものは栄養価が高く、消化のしやすいヤギミルクになります。ミルクの温度は37~38℃くらいに温めて、シリンジなどで飲ませます。飲ませる際、勢いよく押し込むと危険なので、ゆっくりと飲ませてあげてください。飲ませる頻度は、生後2週間までは2時間おきに与えましょう。ミルクを飲ませた後は、排泄を促してあげる必要があります。暖かく湿らしたコットンなどで、お尻を刺激して排泄を促します。毎日体重を量り、しっかりと成長しているか確認しましょう。体重が増えていない場合は、ミルクの量を増やすか、飼い方を見直す必要があります。
難産
出産前に赤ちゃんが育ちすぎてしまったり、産道が狭いなどが原因で難産になることがあります。予定日を過ぎても生まれてこない場合は、すぐに動物病院で診てもらいましょう。帝王切開で助かることもあります。予防策としては、しっかりと体が成熟している個体を繁殖に使うことが重要です。
最後に
デグーは繁殖が容易で、赤ちゃんも可愛いので、繁殖に挑戦したい方は多いかと思います。しかし安易に増やしてしまうと、トラブルが起きてしまうことがあります。よく検討してから行うようにしましょう。
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